2026/01/10 07:30

8年間の大学・大学院生活は、自分にはまだ早いかも…という謙遜(?)で、ついに竹久夢二美術館に行かないままに終わってしまった。そんな高嶺の花に地元で出会うなんて運命を感じてしまう。さっそく手に取ってみると、当時の乙女たちの心を虜にしたというのが納得の愛おしい詩たちが並んでいて、不覚にもきゅんとしてしまった。こんなことなら、勇気を出して美術館に行っておけばよかった…。
そういえば、最近、愛おしい人たちをたくさん見た。空港にて、彼氏の「寂しくなるでしょ」に、「うん、寂しくなっちゃう」と答える彼女。飲食店で「けっきょく奥さんのごはんが一番おいしいんだよ」と嬉しそうに話す叔父と、静かに微笑みを返す叔母。声が出せず筆談のため伝えられることに限りがあるのに、ことあるごとに「嬉しい」「幸せ」と書いてくれる祖父、などなど。
素直であるってすてきなことだなぁ。今年はいつも以上に素直に生きていきたいものだ…と考えていると、ふと、かしこまっていないくてぎゅっとしたくなる短歌があったよな、と思い出して、本棚から2冊抜き出して読み返す。年代も角度も違うけれど、どちらもとてもよい。それぞれから5首ずつ紹介したい。
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また電話しろよと言って受話器を置く君に今すぐ電話をしたい
気がつけば君の好める花模様ばかり手にしている試着室
君と食む三百円のあなごずしそのおいしさを恋とこそ知れ
今日風呂が休みだったというようなことを話していたい毎日
いつもより一分早く駅に着く 一分君のことを考える
俵万智『サラダ記念日』
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きのうの夜の君があまりにかっこよすぎて私は嫁に行きたくてたまらん
私だけもりあがってるような気がしないでもないけど今日はやめない
しょーもないことで胸がいっぱいになってご飯がのどを通らなくなれ
最後にはどうせひとりになるんなら今ぐらいひとり以外でいたい
例えば今、起きたら君がいたりするわけでもないので起きれずにいる
脇川飛鳥『ソーリーソーリー』
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正直で真っ直ぐで、こちらまで恥ずかしくなってくるけれど愛おしい。自分もそんな感情を日記に書き留める年にしようか。きっとできやしないのに、そんな気持ちにさせられてしまう。せっかく日記を始めたのだから、いつかそんな日が来てもいいですね。それはそうと、日記のつもりが引用が多くなってしまった。本屋だからとご容赦いただきたい。
許しを乞うたところで、さっそくもう1つ。前回の日記でも紹介した『Letter』(皆川明)から1篇。
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見えない光 9月17日
あなたを誰かと比べられるのは
せいぜい皆んなも持ってるとこだけ。
あんな素敵はあなたにしかないから
比べることすらできやしない。
見ようとしなければじっと隠れてる。
とっても繊細であなたを愛さないと
見えない光。
今はあなたも知らないかもね。
皆川明『Letter』
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先週の日記のおわりを「2026年をともに愛おしい年にできますように」にしていたようで、なんだか誇らしい。何事もじっと見つめて、たくさんの愛おしいを集める年にしたい。(2026.1.10)
[登場した本]
竹久夢二『乙女詩集・恋』(河出書房新社、2008年)
俵万智『サラダ記念日』(河出書房新社、1987年)
脇川飛鳥『ソーリーソーリー』(短歌研究社、2025年)
皆川明『Letter』(つるとはな、2020年)
[写真]
2025年12月29日 飛行機にて、皆川明『Letter』の1篇
