2026/04/04 07:30

今週は、日記と誰かの話を。


2026年3月28日(土)

友だちが島に来た。唐突に。

「明日から隠岐に行くって言って 本当に来る人いないよね、ごめんね。」
空港に着いた彼女はそう笑っていた。「まぁでも、ユウトくんならいいかって」とも。信頼なのか、なんなのか。嬉しいような、不本意なような。

「本当にそんな人いないよ、反省してくださいね」と言ったら、「今日福岡いる?って聞いてきたことあったよね。そんな人もいないよ」とカウンターをもらってしまった。こっちのほうがひどいか…ごめんね、と笑う。

最近そんなことしていなかったな。北海道から東京に戻って北欧へ、そして帰国して種子島へ、そんな日々を送っていたあの頃をもう一度やりたい。近いうちに必ず。たぶんあの頃よりもっと楽しめる。


2026年3月29日(日)

鞄とともに旅をした。やっぱりいい鞄。たくさん本を並べるお店も楽しそうだけど、10冊しか入らない鞄でどの本を連れていくかを考えるのはもっと楽しそう。

牛と鞄と一緒に、宣材写真を撮ってもらう。猫背だった。走っている途中だから、と言い訳したい。猫背には変わりないのだけれど。

そういや以前、「社会学者だから、と言い訳したい」って書いたことあったな。言い訳ばかりだ。自分らしくて嫌いではないけれど。


2026年3月30日(月)

友だちの言葉にくらってしまった日。あとでまた出てくる、ある帽子屋さんの言葉。


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『脳内花畑』
Product Story

この帽子は、花の生地を使いました。
緑と白の花が、ひたすら並んでいる。こういう柄って、見ているだけで気持ちが高鳴りますね。傑作です。

僕のオカンはいえで花を育てています。
時折、実家に帰ると、花を摘んで持って帰らされます。
「はい、これ」って、コンビニのレシートみたいなテンションで渡してくる。特に何も意識せずやっているのでしょう。

でも、これめちゃくちゃイけてないですか。
花って、本来わざわざ買ったり、ちゃんとしないと手に入らないものなのに。
オカンはそれを、ただの生活の続きとしてやっている。たぶん本人はいいことをしてる感覚すらない。お土産どうぞくらいな。
こういうのが、一番破壊力がありますね。

この帽子も、たぶん同じです。
表は深いグリーンで、わりと真面目な顔をしている。街にも馴染む。
でも、少し浅めに被ると、ツバの裏と内側から花が出てくる。

実家から持たされた花束みたいに、気づいたら日常の中で効いてくる。一番破壊力があるやつです。

(KABURU公式Instagramより)
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絶対に勝ち負けじゃないんだけど、オカンに完敗です。絶対に適切じゃない表現なんだけど、悔しいです。破壊力を高めていきたい。オカンと違ってうるささを極めてみてもいいか。いずれにしても破壊力を。

後日談:
この帽子(脳内花畑)、買ってしまいました。似合うかはわかりませんが、かつて攻撃的で変な歌(?)を書き殴っていた僕にぴったりなんじゃないかな。

いいねって? 頭の中が花畑? 種まき水やり世話してきたから

やはり僕はうるさく生きるしかないのかもしれませんね。


2026年3月31日(火)

ボスが島から旅立った。
こんな部下をもって大変だったと思うけど、あなたがいたから平和に生きられました。ありがとうございました。


2026年4月1日(水)

人生で初めてヘアミルクを買いました。髪がつるつるです。つるつるって言うんかな。さらさら? すべすべ? 語彙もなかった僕ですが、これから髪を大切に生きていきます。


2026年4月2日(木)

今日のお弁当、片側に寄ってたな。おかずの量が足りていなかった。月が大きくて赤かった。久しぶりに本を読んだ。ともあれ、自分の機嫌の取り方を知っていてよかった。


2026年4月3日(金)

八朔は塩をかけて食べるとおいしいらしい。
(今週の前半、日記がんばりすぎたな。後半が通常運転なのに、なんだか未完成みたい…。)


◇◇◇

誰かの話。


大丈夫だ。だいじょうぶ、だいじょうぶ。

本を閉じて、ひとりつぶやく。
ときどき無性に感情をかき乱してくれる本を読みたくなる。今日がその日だった。

どう思っているか知らんけど、あんたが思っているより強くないよ。
あんたが思っているより弱くもないけど。心の声に咄嗟にそう付け足して、あまのじゃくだな…と笑う。

私は今日もかぶっているのだ。
こんな私はどう?って、今日も誰かを演じているうちに自分の輪郭を見失っていたなんて、とんだ笑い話。

そんなの癪だから、定期的に本を読んで、輪郭を思いっきり揺さぶってもらうことにしている。
あっついサウナのあとの水風呂で、身体の境界線をはっきりさせるみたいな、そんなこと。

そういやこの前誰かに言われたな。頭の中が花畑だって?
ツバの裏と内側に花を仕込んで、今日も水やりを忘れないようにしてるんだよ。
雑草みたいな感情を覆い尽くすくらいに花が咲き誇るように。花たちが出張でどこかに行ってしまわないように。

頭の中で捲し立ててから、ウイスキーを一口。
グラスの氷が溶けて カランと乾いた音を立てる。

小説みたいなタイミング。
そういや今日は満月で、赤くて大きい月を見られたな。持って行ったお弁当褒められたのもよかったな。
いいことばっか思い出す。

まあいいや。明日もかぶっていきていこう。自覚的なら悪くない。
ご機嫌だと思っていたら大抵ご機嫌になれるから。

[登場したものたち]
小説:尾崎世界観・千早茜『犬も食わない』(新潮社、2018年)
帽子屋さん:KABURU(https://kaburu.org/)


◇◇◇

大学時代の友人が始めた帽子屋さん。生き方も文章もすてきなので、ぜひ覗いてみてください。


ともあれ、来週も愛おしい日々になりますように。


[写真]
2026年4月のある日。近所の道にて。